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今回の作品は『少女七竈と七人の可哀想な大人』という本に出ていた”ビショップ”という犬がとても良かったので思いついた作品でした。
あとは、家に住み着いた幽霊、ということで妖怪の”座敷童子”もそのコンセプトの中には入ってます。
10/24一度なおしを入れています
10/27再度修正
カラスの灰色は、灰色のカラスである。
灰色という名前は僕がつけたものだ。
灰色は他のカラスに比べて、一羽だけ羽毛の黒が薄い。灰色なのだ。だから灰色だ。
――『“本”の物語』の再考です――
あれは夏休みが始まってすぐの頃だった。
思えばあの出会いは運命とか必然とか、そういうものじゃなくて、本当はオレがいようがいまいが事は勝手に始まって勝手に終わるようになっていて、べつにいなくてもよかったオレはただ巻き込まれただけのものなのかもしれない。
とにかくオレはあの日、あの場所でじいさんと出会った。
一つだけ間違いのないことは、あの出会いがオレにとっての転機だったということだ。
――『”鏡”の物語』の再考です――
小学校の高学年に上がるか上がらないかの頃。
凍えるような寒さの十二月。満月の夜に僕は小学校にこっそり忍び込んだ。誰にも気づかれないように音を立てず、明かりも点けずに。
その目的は中央会談の踊り場にある大鏡だ。何年も前の卒業生の記念品で、大きさは僕の身長の倍近くある。
OLである私が勤める会社は、市内の中心であるS駅から二駅のところにある。
その会社までの道のりを音楽を聴ききながら歩くのが私の習慣だ。曲は週に一度、ネットからパソコンにいい物をまとめて落としてアイポッドに無作為に入れておき、そして聴いているうちに気に入ったものをパソコンに編集するようにしている。
私の住む町は、細い路地が幾重にも折り重なっていて、慣れていない者や、方向感覚の悪い者は簡単に迷ってしまう。
もう三十を過ぎる私は、さすがにもう慣れてはいるが、かなりの方向音痴だったので、ずっと住んでいながら小さい頃は苦労したものだった。
私がお姉さんと知り合ったのは、夏休みに入ったばかりの頃だった。
私は、昔から本を読むことが好きだった。とくに幻想的な話が好きで、図書館に行くと、そういう本をいつも端から探していた。
お姉さんと知り合ったのは、近所の図書館で、同じ本を二人でゆずりあったことがきっかけだった。
凍えるような十二月の、満月の夜に、僕は小学校にこっそり忍び込んだ。誰かに気づかれないように音を立てず、明かりも点けずに。