[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
~粗筋~
中学を卒業し、新しい町にやってきた夕原冬美。彼女は気づくと少年の背後霊に憑かれていた。
自分をユウと名乗り、やたらと話しかけてくる幽霊に冬美はほとほと困り果てるが、ある停電の夜をきかっけに、二人(一人と一霊)はだんだんと打ち解けるようになる。
そして騒がしかった春休みも終わって始まる入学式。冬美はユウを伴い学校へとおもむく。
ストーリーは、その日の午後から始まる。
それは足りない何かを補いあった、二人の男女の物語。
バカヤロウ
バカヤロウ
バカヤロウ
私は心の中でそうやって何度も悪態をついている。そして悪態をつきながら走っているんだ。今日入学したばかりの新しい学校の中を。眺めのいい高台に建てられた校舎、春風に舞う桜吹雪、いろんな部活の勧誘イベント、そんなものには一切目もくれずにやたらと広い敷地にある全部の建物をくまなく探して回っている。
自分がどんな目で見られているかなんてもう考えたくもない。
それでも私は走らなくちゃいけないんだ。
あいつを探すために。
ああもう、本当にバカヤロウっ!
「どこにいったのよ。あのバカ幽霊っ!」
◆◆◆
私――夕原冬美が新しい家にやってきたのは二週間前、中学校の卒業式のすぐ次の日だった。飛行機と電車を乗り継いで町に入り、新しいアパートに入って、新しい部屋に腰を落ち着けた頃には、あいつは私の後ろにいた。
ちょっぴりつり目が特徴の、詰め襟の学生服の少年。
軽薄なくせに、変に紳士的なところもあって、いつも楽しそうに笑っていた。
ユウ。
幽霊のユウ。
私に憑いた背後霊。
「ゆうばる? なんだかメロンみたいな名前だね」
なんて、最初から本当にバカだった。
この二週間、あいつはずっとそんな調子だった。
初めての町を歩いた時も、学校を下見に行った日も、停電の夜だって、いつも私の後ろにいた。両親がほとんど家にいなくて、あいつとはいつも二人きりだった。バカなことやつまんないギャグばかり言っていて、私の春休みを乱しに乱して、そのくせ女の子の事をなんにも分かってなくて、分かったら分かったですぐに真っ赤になってしどろもどろになってしまう。変で、おかしくて、ちょっとだけ可愛いバカ幽霊。
ユウは本当にうるさくて、騒々しくて、でも、邪魔じゃなかった。
だってユウは「おめでとう」と言ってくれたから。
私が新しい学校に入ることを、何度も何度も祝ってくれた。聞き飽きるくらいの「おめでとう」をくれて、自分のことみたいにはしゃいで、あの細長い目を弓にしてあいつは笑ってくれたんだ。
「冬美はなんの部活に入るの。青春なんだから熱中しないと」
「あそこの遊園地楽しそうだね。学校が始まったら友達と行かなきゃ」
「小説家が冬美の夢なんだ。カッコいいじゃんっ。オレ、応援するよっ」
自分が死んだ理由だって冗談みたいに話して、泣いた私をバカにして、それでまた笑わせてくれた。
私にしか見えない。聞えない。そんな私の背後霊。
今日も入学式の日程を一緒に確認して、朝ごはんをお話ししながら食べて、学校へ続く長い坂道を、私は人がいるから返事ができないのに、おかしなことばかり言って笑わせようとしていた。
それなのに――
バカヤロウっ!
入学式が終わって、あの体育館から解放されて、気づくとあいつはいなくなっていた。
今まではお風呂に入る時だって向こうを向かせていたくらいで、離れたくても離れられない。何をやっても成仏なんか絶対しなかったのに。
それなのにあいつはいなくなってしまった。
入学式が始まるまではちゃんと後ろにいたのに。
だから私は今、あいつを探して学校の中を走り回っている。
息なんかとっくにあがっていて、足だってガクガクだ。それでもまだ走って、本当に死にそうになるくらいに探して回ったのに、あいつはどこにもいなかった。
もしかして――
そんなこと考えたくないから、私はまた走り出す。もう新入生の姿も見えない、人気の少なくなってきた校舎をフラフラな足取りで。心の中で同じ言葉を叫びながら。
バカヤロウ
バカヤロウ
バカヤロウ
私のバカヤロウっ!
本当は分かってたのに。
あいつがいてくれたから、私は寂しさを感じてなかったんだ。
両親が家にいなくても、一人じゃなかった。
知らない場所なのに、不安じゃなかった。
友達と離れても、心細くなかった。
私の分まで喜んでくれて、新しい学校を楽しみにしてくれた。いろんなものを取り払ってくれて、代わりにかけがえのない大事なものをたくさんくれた。
最初はあんなに迷惑で、うっとうしくて、やっかいに思っていたのに。
気づいたら好きになっていた。
一緒にいることが楽しくて、幸せだった。
だからずっと言おうと思っていたのに。
側にいてくれて、寂しくさせないでくれて、ありがとうって。
それなのに、何も言わせずにいなくなってしまうなんて。あいさつもなしで、現れた時みたいに、勝手に出てきて、いなくなる時も勝手だなんて。バカ。本当にバカ。でも大切な事を何も言えなかった私が、一番のバカなんだ。
見上げた空は赤く染まっていた。
半日探して、結局あいつは見つからなかった。
遠くに沈む夕日の眩しさに、あいつの笑顔を思い出した。
そうか。夕日のゆうは、私の夕で、あいつのユウなんだ。
ユウ。
幽霊のユウ。
私に憑いた、心の優しい背後霊。
だから私は誓うことにした。
あいつをぶん殴るつもりで、夕日に拳を突き出して。
意地でもこの学校生活を楽しんでやるぞーって。
バイバイ、ユウ。
ありがとう。
まず、粗筋は要らない。特に、自分の作品に自分で粗筋をつけていては、自分の作品に自信がないようにみられる。
次に、「◆◆◆」までの、話が微妙。もしこの部分残すなら、「悪態をつきながら走ったんだ」あたりを中心に書き方が妙。
最後に、やっぱりキャラが薄い。まるで、かまいたちの夜っていうゲームみたい。人物が青く透けてるんだけど、そんな感じ。
ま、人にえらそうに言って、自分はどうなんだと言われればそれまでなんですけど。君を頼りたいんでね。よろしく頼むよ。
読みましたけど……某サイトの方でも-30つけました。掌編小説本文の文章ではなく、あらすじの文章って感じなので。本編の長編で頑張っていただきたいです。
電撃掌編王は、メールで応募できる手軽さがいいですね。
私も前回の学校、春、二人の時に一作応募してみました。
今回の学校、夏、お化けにも、一作出してみようかな、と思っています。
ナギ×ナギさんも書いておられるのでしょうか?
『夏と花火と中田さん』読みました。
文章は上手いです。雰囲気もいいです。
……でもそれだけなんですよね。人物描写も薄いし、名前が回文ってだけじゃ描写としては弱いし、舞台も学校の屋上ということで、工夫に乏しいという感じです。
一番電撃掌編王としてきびしいのが、どんでん返しの展開がなく、そのまんまあっさり終わってしまったところでしょうか。
あと、今回のお題は、「幽霊」ではなく「お化け」ですけどね。
点数としては0から-10の間、といったところです。
電撃掌編王には中田さんの他にも何作か応募したのでしょうか?
私は1作だけ応募してみました。まあ、拙作もどんでん返しが無いという意味では人のことはいえず、かなり厳しいとは思いますけど。