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主題はコンパクトにすることと読みやすさです。原稿用紙四枚分っていうのはやっぱぎりぎりです。
あと以前に書いた長編『闇憑き-silent-』が電撃大賞一次を突破しましたよー。報告遅くてすみませんでした。最近の電撃文庫の新刊にとじてある広告の中によく見たら『ナギ×ナギ』がいますので暇だったら探してみてください。
ではでは。これからもがんばってきまーすっ
『栞』
突然だが私の弟は本好きだ。
学校での休み時間はもとより、電車に乗っている時間も、家でくつろいでいる時間も、片時も本を離さない読書狂なのである。
そんな弟の休日に行う趣味は、意外なことに散歩であった。
しかし本の虫である弟の、それがただの散歩であるはずがない。
なんと弟は本を読みつつ散歩をするのである。
母も父も何度も注意をしているが、一向にやめる気配はない。弟は休日になると、朝に数冊の文庫本を持ってフラリと出かけ、夕方になるとそれらを読み終えて戻ってくる。そんなおかしな読書家である弟のご近所での通り名は『二ノ宮くん』だ。うちは一之瀬なんだけどね。
そんな弟を持つ私は、趣味でちょっとしたコレクションをしている。
集めているのは栞。
ご存知、本に挟む栞である。私は栞のコレクターなのだ。
もちろん栞はただの栞ではない。
私がそんな趣味を持つようになったのも、弟の寄行がきっかけだった。
弟は本をあれほど読むくせ、栞というものに一切頓着がない。とりあえず目印になればいいと思っているようで、いつも散歩するうちに見つけた適当な物を拾っては本に挟んでいるらしいのだ。
だから栞は日によって変わり、カラスの羽だったり、誰かのメモ用紙だったり、コンビニのレシートだったりと多種多様である。時には誰かの免許証や、どこかの国の紙幣だったこともあったくらいだ。
その集められてくる栞たちが、あまりに突拍子もない物ばかりだったために、私は興味を持ち、いつからかそれらを採集することが楽しくなってきていたのだ。
今では週に一度、弟の読んでいる本を確かめ、栞を取り出してはアルバムに収めることが私の何より楽しみになっている。栞として使われるものは例外なく平たいので、かさばる心配だけはないのだ。最近では自分なりに採点までしているくらいである。
秋の日、栞は真っ赤な紅葉だった。
風流で良し。七十五点。
風の強い日、栞は故郷の母親宛に書かれた手紙だった。
内容が良かったので、八十五点を与える。
梅雨の日、栞は破り捨てられた写真だった。
笑顔の女性の写る写真が、真ん中のあたりで破られている。消えた半分にドラマが見えた気がした。高得点の九十点とする。
このようにして、私のコレクションは増え続けている。アルバムはもうすぐ三冊目に突入する勢いだ。まったく、これも弟の奇行のおかげである。これだけ素敵な物ばかりを拾ってこられるのだから、歩く弟がいずれ何に当たるのか、もしかすると見物なのかもしれない。これからも私に愉快な栞を提供してくれる事を願うばかりだ。
さて、残念ながら私の話には特にオチはない。
なぜならば、これは私の自慢話なのだ。
コレクションとは自慢したくなってしまうものなのだから。
×
突然だが僕の姉の部屋は散らかっている。
どれくらい散らかっているかというと、誰が見てもゴミだめと判別するくらいの悲惨さだ。しかもゴミは今も増え続けている。これは姉に昔からある癖が原因で、あの人は街で気に入ったものを見つけては拾い、必ず部屋に持ち帰ってくるのだ。それらが適当に部屋に投げ捨てられているために(本人は保管しているらしいが)、本人にさえ忘れられながら山を築き続けているのである。
ちなみにそんな姉を持つ僕の趣味は読書である。
それも散歩をしながら読書をする。休日は読んでいない本を持って朝から家を出るのが習慣だ。
さて今日は土曜日だ。
本を持って外へ出かけよう。
まずは姉さんの部屋で、栞になる物を見つけないといけない。